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以下商品説明です。
2019年の創設以来、わずか2年弱ほどで評価を確たるものにした東京発の新生ペダルブランド“Virtues”。中でも特に高く評価されているFuzz Face系ペダル“Lander”のCULT限定モデルです。
従来のLanderは、Virtuesのビルダーが所有する1968年製Dallas Arbiter Fuzz Face(Dallas Arbiter名義ながらNKT275を搭載した過渡期の仕様)をリファレンスにし、現代的なコンポーネントと小型軽量の筐体を使用しながらもオリジナルFuzz Faceに肉薄するファズサウンドを会得していました。
▲通常版のLanderとそのリファレンスに使われた1968年製Fuzz Face
その完成度は極めて高く、通常仕様のLanderをなんら不満なく愛用している方が多いと思います。しかし、CULTではよりマニアックに、よりヴィンテージに近づけるような、2種類の完全別注の特別モデルをリクエストしました。
そのひとつが、Lander CULT Limited “iss.2”です。通常のLanderがNKT275(ゲルマニウム・トランジスタ)を搭載したFuzz Faceを再現したペダルだったことに対し、Lander CULT Limited “iss.2”はシリコントランジスタを搭載したFuzz Faceの音色を再現しています。
▲リファレンスのひとつに使用したCULTが所有する1972年製のFuzz Face
Fuzz Faceのトランジスタがゲルマニウムからシリコンへ代わったのは1968年。その当初はTexas Instruments社製のBC183KA、次いでBC183Lが搭載されていましたが、Lander CULT Limited “iss.2”が目指したのは、1969〜73年ごろの間に生産されていたTelefunken社製のシリコントランジスタ、BC130C、BC108Cを搭載した個体の音色です。ある特定の個体の再現を試みたのではなく、数ある1969〜1973年製のFuzz Faceの音色にある、音楽性の高い要素を包括的に再現しています。なお、熱心なペダルファンはお解りかと思いますが、モデル名の“iss.2”は1969〜73年製のFuzz Faceの基板裏面にある表記に由来しています。
コントロール類は通常のLanderと全く同様、左上が音量を調整するVoleme、中央が入力感度を調整するPre Gain、右上が歪み量を調整するGainです。ヴィンテージのFuzz Faceと同様、Volumeのセッティングによって音色の印象が大きく異なり、Voulemeコントロールの操作によって音量と同時に音の解像度、張り出し方が変化します。Pre Gainは入力レベルを調整するもので、出力の高いギターを使用する際や、前段に配置するペダルに合わせてノブを操作します。また、歪みやすいアンプや実際に歪んだアンプと組み合わせた際、音が潰れ過ぎてしまっている場合にそれを解消するような使い方も有効です。なお、特に高い出力の機材を繋げない限り、最小値(反時計回りいっぱい)から使用することをを推奨します。
まずこのCULT Limitedシリーズを企画するにあたり、最初に変更したのが“筐体”です。通常のLanderはアルミ製の板材を筐体に使用していますが、CULT Limited シリーズでは厚さ2.0mmの鉄板を使用しています。
その結果、総重量は通常のLanderから2倍以上にもなりましたが、この筐体の違いが音色にも影響を及ぼしています。特に低域の膨らみ、中域の密度感はよりオリジナルのFuzz Faceに近づき、近代製のファズとは到底思えないような、ヴィンテージ然とした太さを得るに至りました。
その筐体に施される塗装も通常のLanderとは大きく異なります。CULTが所有する1972年製Fuzz Faceにある、深い青色のハンマー塗装を細かく研究し、模様の大きさと深さ、そして経年も相まって作られたであろう、絶妙な色合いを再現しています。また、1971年以降のFuzz Faceと同様、モデル名はデカールで印字し、当時のデカールに散見される経年による変色までも再現しました。
もちろん、こだわっているのは外見だけではありません。その音色もヴィンテージのFuzz Faceに近づけるべく、通常品とは異なるトランジスタを使用し、回路の一部を変更しています。特にこだわったのは、バサっと毛羽立った高域と豊かな倍音感、そしてギターボリュームを絞った際に現れる鈴鳴り感でした。
1969〜1973年ごろまでのFuzz Faceに使用されていたシリコントランジスタであるBC108は、セカンドソース品が現在でも広く流通しているため、これまでにもBC108を使用したFuzz Faceのリスペクトモデル、リプロダクトモデルは数多く作られてきました。その多くは十分な歪み量があり、そうでありながら音が潰れ過ぎず、整理された音色の優れたファズペダルであったと思います。しかし、オリジナルの1969〜1973年製のFuzz Faceが整った音色であるかどうかと言われれば、多くの人はそうではないと思うはずです。
このLander CULT Limited “iss.2”は、ヴィンテージのシリコントランジスタ仕様のFuzz Face特有の荒さ、音の潰れ方、整っていない高域の質感の再現に注力しています。ダイオードでクリッピングしたディストーションペダルのような粒の整った歪みではなく、トランジスタがオーバーロードしていることを感じさせる、野蛮なファズサウンドです。ゲルマニウムトランジスタのオーバードライブ的に自然な歪みではなく、様々な帯域のピークと複雑な倍音構成を感じさせるヒステリックな歪み、そしてギターボリュームを絞った際に現れるエンハンスされたような煌びやかなクランチ、クリーンサウンド、それらがLander CULT Limited “iss.2”の音色にある最大の特徴です。そして、それこそがヴィンテージのBC130C、BC108Cを搭載したFuzz Faceの特徴でもあると言えるでしょう。
電源は006P 9V電池に加え、安定してDC9Vを出力できるパワーサプライ、電源アダプターでも駆動が可能。電池の消耗などで電源電圧が下がってきた際、表面のLEDの色が青から赤に変わるシステムを採用していることにより、適切な電源環境をモニタリングすることが可能です。エフェクトOFF時は信号が完全にエフェクト回路から切り離される、いわゆるトゥルーバイパス仕様です。
知りうる限り、一般的なサイズ(約60mm × 約112mm)のFuzz Face系ペダルの中で、このLander CULT Limitedシリーズが最もヴィンテージらしい音色を具えたものであると自負しています。汎用的な電源環境での駆動、省サイズ(少し重いですが)、ノイズ耐性、耐久性、少ない個体差、これらの現代的な仕様を叶えながら、本物のヴィンテージFuzz Faceと代替できる音色。そして、外観にも妥協はありません。
青いFuzz Faceと一言にまとめても実はその青色は大きく分けて4種類あり、中でもこの特にヴィンテージ感の強い、暗い青色のハンマー模様と色合いが再現されたLander CULT Limited “iss.2”の外観は、Fuzz Faceファン以外にも響くのではないでしょうか。前述の通り、BC108系のFuzz Faceリプロペダルは数多くありますが、その中でも群を抜いたヴィンテージ感の強さです。誰にでも好かれる無難なファズペダルではないことを断言します。しかし、長く愛すことができるポテンシャルを具えた、楽器らしいファズペダルであることも同時に断言できる逸品です。また、今後もCULTでは無難な製品を取り扱う予定はありません。
CULT 細川